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報道各位
2020.05.19

種苗法改正案に慎重審議を求める意見書を提出

東都生協は衆議院農林水産委員に「種苗法改正案に慎重審議を求める意見書」を送付しました。


2020年5月18日

衆議院農林水産委員会
委員各位


種苗法改正案に慎重審議を求める意見書

東都生活協同組合
理事長 風間 与司治


 私たち東都生活協同組合は、東京を中心に24万余の組合員によって組織され、安全・安心な食料を未来にわたって安定的に手にするために、全国の農畜水産業者や製造者とともに事業と運動に取り組んでいる消費者組織です。

 当生協は1973年の設立から、一貫して日本の農業を守り、食料自給率の向上を図ることを目標に掲げ、活動を推進してきています。食の安全・安心、いのちとくらしを脅かす危機や、日本農業の維持が厳しくなる社会情勢のなかで、生産者と直接手を結び、「産直」を産地直送ではなく産地直結と定義し、生産・流通・消費のあり方を問い直す運動として捉え、食卓の食料自給率向上運動の推進、2008年から生産者と消費者が対等の立場に立ち、食とくらしに関する新しい価値を創造する「食の未来づくり運動」を取り組んでいます。

 現在、上程されている種苗法改定案は、タネの多様性と安全安心、農家の経営安定を損ねる危険性が高いものであり、農家はじめ国民の間に不安と反対意見が広まっています。先週には、39県で新型コロナウイルス特別措置法に基づく緊急事態宣言が解除しましたが予断を許さない状況です。今国会がなすべきことは、新型コロナウイルス禍を現場で闘っている医療従事者や市町村等の職員、学校給食や飲食店等を対象にして販売に苦慮している農家への支援策、国民生活の維持、新型コロナウイルス後の社会、経済のあり方を見据え、最善の方向を見出すための検討ではないでしょうか。このような中で、短時間の議論で法改正を行うべきではありません。仮に審議するとしても、参考人招致、公聴会開催などを実施して国民に耳を傾けて慎重審議を求めるものです。

 今回の改正案には、次のような問題点を踏まえた論議を求めます。

1.食の安全が脅かされます。
 遺伝子組換え表示のない種苗では、大手種子企業の登録品種が増えると遺伝子操作された種苗がでまわる可能性があり、食の安全・安心への不安が増します。

2.「自家増殖」は農民の権利です。
 育成者権保護を目的とする国際条約UPOV91でも認めています。また、2018年11月に国連総会で採択した「農民の権利宣言」でも、農民の自家増殖の権利を明記しています。
 また、農家はその土地の土壌や気候に適した種子を長い年月をかけて育成し、野菜や果物を育ててきました。これは農家の知的財産です。

3.原則全ての登録品種の自家増殖が許諾制になる。
 今回の改正で許諾制になると、許諾に関する事務手続きや費用負担の増加が見込まれ、農業経営等に甚大な影響を与えます。ひいては消費者の選ぶ権利を阻害します。

4.最大の関係者である農家と消費者の意見を述べる権利の確保が必要です。
 農家や消費者の利害関係者として意見を述べる権利を奪うことは許されません。農林水産省は、事前に全国各地で十分な意見陳述の場を確保する責任があります。国会でそれを保証させる必要があると考えます。

以上