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2020.06.09

家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案に慎重審議を求める意見書を提出

東都生協は農林水産省商品・安全局に「家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案に慎重審議を求める意見書」を送付しました。


2020年6月9日

農林水産省消費・安全局 御中

家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案に慎重審議を求める意見書

東都生活協同組合
理事長 風間 与司治


 私たち東都生活協同組合は、東京を中心に24万余の組合員によって組織され、安全・安心な食料を未来にわたって安定的に手にするために、全国の農畜水産業者や製造者とともに事業と運動に取り組んでいる消費者組織です。

 当生協は1973年の設立から、一貫して日本の農業を守り、食料自給率の向上を図ることを目標に掲げ、活動を推進してきています。食の安全・安心、いのちとくらしを脅かす危機や、日本農業の維持が厳しくなる社会情勢のなかで、生産者と直接手を結び、「産直」を産地直送ではなく産地直結と定義し、生産・流通・消費のあり方を問い直す運動として捉え、食卓の食料自給率向上運動の推進、2008年から生産者と消費者が対等の立場に立ち、食とくらしに関する新しい価値を創造する「食の未来づくり運動」を取り組んでいます。

 現在、上程されている家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案は、弊組合が取り組む組合員が望む安全・安心な畜産物の供給、それに応える放牧、アニマルウェルフェアに取り組む生産者の活動を妨げるものになります。弊組合では産直産地とともに、家畜の命を尊び、快適でストレスがかからない環境に配慮することで病気のリスクを減らし、免疫力を上げることで安易に薬剤に依存しない飼養管理に取り組んでいます。この取り組みは、結果として「安全・安心」や「おいしさ」を満たし、豊かな食生活をもたらすものであり、畜産を生業とする産直産地の持続や発展にも繋がると考えています。弊組合は設立当初より、アニマルウェルフェアという言葉や概念が認知されていない頃から、産直産地と連携し、開放鶏舎や平飼い、ゲージ段数制限、放牧など、家畜が育つ環境への配慮こそが安全な「食」の源であると考える組合員の思いをカタチにしてきました。この取り組みは、現在まで組合員の支持を受け、利用が継続されています。



<意見>



①飼養衛生管理基準(豚、いのしし)Ⅰ-9「放牧制限の準備」及び、Ⅲ-28「大臣指  定地域に指定された 場合の放牧場、パドック等における舎外飼養の中止」の削除を求めます。

②飼養衛生管理基準(牛、水牛、鹿、めん羊、山羊)Ⅰ―9「放牧制限の準備」及び、Ⅲ  -26「大臣指定地 域に指定された場合の放牧場、パドック等における舎外飼養の中止」  の削除を求めます。

 先に述べたように産直産地とともに、家畜の命を尊び、快適でストレスがかからない環境に配慮することで病気のリスクを減らし、免疫力を上げることで安易に薬剤に依存しない飼養管理に取り組んでいます。「放牧制限の準備」「大臣指定地域に指定された場合の放牧場、パドック等における舎外飼養の中止」を講じることは、産直産地の持続や発展を妨げ、組合員の望む安全・安心な畜産物の供給を阻むものとなります。
 今回の家畜伝染病予防法施行規則の一部を改正する省令案には、次のような問題点を踏まえた論議を求めます。

1.消費者の選ぶ権利を阻害します。

2.世界の潮流であるアニマルウェルフェアの取り組みが、日本では衰退していく事になります。

3.食料自給率が低下します。
 「放牧制限」は、外国産の安い畜産物に対抗できる「放牧・アニマルウェルフェア」畜産物の可能性を妨げる ことになり、離農する生産者も増えることになります。

4.最大の関係者である農家と消費者の意見を述べる権利の確保が必要です。
 農家や消費者の利害関係者として意見を述べる権利を奪うことは許されません。農林水産省は、事前に全国各 地で十分な意見陳述の場を確保する責任があります。国会でそれを保証させる必要があると考えます。

以上