プレスリリース

2012.03.27

残留放射能自主検査での「検出限界値」について

この間、残留放射能自主検査での「検出限界値」の設定や変更について、組合員より質問が寄せられています。この件について、東都生協の測定機器「ゲルマニウム半導体検出器」に即してご説明します。

【1】検出限界値をできる限り低く設定しています


残留放射能検査では検体の濃度が分かる最低濃度を「検出限界値」といいますが、その値は「測定時間」と「測定重量」によって変動します。つまり、測定時間が長く、測定重量が大きいほど精度が上がり、検出限界値が小さくなるのです。

東都生協のゲルマニウム半導体検出器で使用している測定容器(マリネリビーカーといいます)の容量は1㍑です。自主検査にあたっては、常にこの容器の容量一杯まで検体を詰めていますので、これ以上重量を増やす余地はありません。

一方、測定時間を延長することによって精度を上げることは可能ですが、その場合、1日に検査できる検体数が減少してしまいます。

【2】新基準値に対応した検査を実施しています


食品中の放射性物質についての食品衛生法上の新基準値では、食品を4種類(一般食品・牛乳・乳児用食品・飲料水)に分類しています。最も規制の厳しい「飲料水」は10ベクレル/kgと定めており、昨年3月に策定された現行基準(暫定規制値)に比べて20分の1になります。また、粉ミルクなどの「乳児用食品」と「牛乳」は同50ベクレル/kg、それ以外のほとんどの食品が該当する「一般食品」は同100ベクレル/kgとなっています。

食品安全の分野では、一般的に検出限界値は基準値の1/5~1/10であることが求められます。
東都生協は、最も規制の厳しい「飲料水」に対応する検査では、「基準値の1/10」の検出限界値を目指して測定時間を原則4,000秒に設定し、1ベクレル/kg程度の検出限界値を確保しています。なお、基準値100ベクレル/kgの「一般食品」の検査にあたっても、同様に測定時間4,000秒・重量1kgの測定条件を適用し、検出限界値を1ベクレル/kg程度の精度を確保しています。

【3】ゲルマニウム半導体検出器とNaI検出器を併用して幅広く検査しています


国は食品の放射性ヨウ素、放射性セシウムの公定検査法として、精密に測れるゲルマニウム半導体検出器の使用を規定しています。ただし、ゲルマニウム半導体検出器の台数が足りないため、「一般食品※」については、簡易型のヨウ化ナトリウムシンチレーション検出器(以下、NaI検出器)でのスクリーニング検査も認めています。
※放射性物質の新基準値での「一般食品」(基準値100ベクレル/kg)に該当する品目

東都生協では現在、ゲルマニウム半導体検出器1台とNaI検出器1台を用いて、できるだけ多くの品目を検査する体制をとっています。それぞれの機器での検査の振り分けは、原則として以下のとおりです。

①ゲルマニウム半導体検出器での検査対象:生鮮品(例:農産品、畜産品、水産品)および加工度の低い商品群(例:牛乳、納豆、漬け物など)

②NaI検出器での検査対象:加工度の高い商品群(例:冷凍食品など)

なお、東都生協でのNaI検出器での検査は、「測定時間7200秒・測定重量1kg」の条件で運用していますが、検出限界値は5ベクレル/kg程度です。