プレスリリース

報道各位
2015.01.09

再生可能エネルギー普及に向けパブリックコメントを提出

東都生協は1月9日、昨年12月に経済産業省が募集した「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」へのパブリックコメントに対し、持続可能な社会に向けて原発依存からの脱却と再生可能エネルギー普及を目指し取り組む立場から、以下の意見を提出しました。
意見書全文

2015年1月9日

経済産業省資源エネルギー庁
省エネルギー・新エネルギー部 新エネルギー対策課
再生可能エネルギー推進室パブリックコメント担当御中

東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也



「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等」に対する意見

私たちは、東京で23万余の組合員を組織する消費生活協同組合です。組合員のいのちとくらしを守るため、持続可能な生産と消費に生産者と協同して取り組むとともに、再生可能エネルギーへの転換、原発依存からの脱却を目指した取り組みを進めています。

再生可能エネルギーの普及は温室効果ガス抑制のためにも喫緊の課題です。再生可能エネルギーに早くから本格的に取り組んだEU諸国に比べ、日本での再生可能エネルギーの普及は緒に就いたばかりで、電力供給量に占める割合は水力を除くと2.2%にすぎません。

全国の大手電力会社が相次いで再生可能エネルギーの接続申し込みに対する回答を保留し、買い取り拒否により再生可能エネルギーの推進に混乱が生じている問題は、電力会社だけの問題ではなく、社会全体に影響を与える問題です。国が積極的に関与し、再生可能エネルギーの推進を前提とした運用体制への転換を図るべきです。

今回の意見募集に対して、私たちは下記の通り意見を提出します。



1.接続可能量の算定について情報公開を求めます

今回の接続ルール見直しに際して、その前提となる再生可能エネルギーの接続可能量について、国民にその算定根拠を分かりやすく明示することを求めます。大手電力会社による再生可能エネルギーの買い取り拒否問題を受けた今回の見直し案の前提となる接続可能量については、その算定根拠や基準を疑問視する指摘が出されています。現時点で原発が1基も稼働していないにもかかわらず、建設中を含め国内の全ての原発の震災前過去30年間の設備平均利用率を用いて原発の供給力を算定していることは大きな問題です。また既存の連系線や揚水発電の活用などの需給調整についても、ほとんど考慮されていません。

接続可能量の算定については今回の見直しの前提となる事項として、電力会社による恣意的な制度運用を防ぐために、その算定根拠を国民に対し分かりやすく情報公開し、公正で透明なルール作りを求めます。併せて系統運用システムの抜本的な改善など、再生可能エネルギーの普及拡大に向けた方策を確実に実施していくことを求めます。

2.原発を「重要なベースロード電源」とするエネルギー基本計画の再考を求めます

昨年、政府が閣議決定した「第4次エネルギー基本計画」では、原子力発電を「発電コストが低廉で昼夜を問わず安定的に稼働できるベースロード電源」としています。しかし、東京電力福島第一原発事故では依然として原因究明が進まず、汚染水漏れなど事故収束の見通しすら立っていません。使用済み核燃料の処分や核燃料サイクル政策にも多くの問題を抱え、新規制基準での国民の生命と財産を守る対策も不十分なまま、原発再稼働を強行することは、到底納得できるものではありません。

私たちは、できるだけ早期に原子力発電に依存しない環境を整備し、再生可能エネルギーの普及拡大を基調としたエネルギー政策へ転換を図ることを強く求めます。今回の見直し案が再生可能エネルギーの普及拡大の妨げとならないように、国民に対して情報を公開し、丁寧な説明を尽くすよう求めるものです。

以上