プレスリリース

報道各位
2017.09.20

消費者契約法の見直しに関する意見書を送付しました

 東都生協は、消費者庁による消費者契約法の見直しに関するパブリックコメント(意見募集)に応じ、意見書を9月15日付で送付しました。
 消費者契約法は、消費者擁護を目的としています。昨年改正され、その際引き続き検討を行うとされた論点について8月に報告書が取りまとめられました。今回、消費者契約法の改正に関する規定案に対する意見が募集されています。
 東都生協は、地域での支えあい活動や、消費者被害啓発活動、商品配達時の見守り活動など行政・自治体など関係機関と連携し、事業・活動の現場で進めており、「誰もが安心して暮らし続けていくことのできる地域社会づくりの実現」を目指す立場から、意見書を提出しました。

意見書全文は下記の通りです。



2017年9月15日
消費者庁消費者制度課 消費者契約法
意見募集担当 御中
消費者契約法の見直しに関する意見
東都生活協同組合
理事長 庭野 吉也

 消費者契約法は、消費者と事業者の情報力・交渉力の格差を前提とし、消費者擁護を図ることを目的として制定されたものです。昨年の通常国会で改正が行われましたが、その際の付帯決議で、引き続き検討を行うこととされた論点等については、内閣府消費者委員会「消費者契約法専門調査会」において継続審議が行われ、平成29年8月に消費者委員会から消費者契約法の規律の在り方についての報告書がとりまとめられました。それを受けて、貴庁が「報告書における消費者契約法の改正に関する規定案」に対する意見を募集されています。

 東都生協では、地域での支えあい活動や、消費者被害啓発活動、商品配達時の見守り活動など行政・自治体など関係機関と連携し、事業・活動の現場で進めてきました。
「誰もが安心して暮らし続けていくことのできる地域社会づくりの実現」を目指す立場から、意見を申し述べます。

1 法第3条第1項関係(2)に対する意見
(内容)
 事業者の情報提供に関して、考慮すべき要因となる個別の消費者の事情に「当該消費者の目的となるものについての知識及び経験」を考慮する規定案に賛成です。加えて、「当該消費者の年齢」についても明記した上で、法改正で規定してください。
(理由)
 消費者委員会「成年年齢の引き下げ対応ワーキング・グループ」が本年1月に取りまとめた報告書の内容を踏まえ、配慮義務が検討されていたものの、考慮要因として年齢が明示されていません。
 若者の消費者被害については、未成年者の契約取得権がなくなる20歳を境に急激に増えています。成年年齢の引き下げを盛り込んだ民法改正案が秋の臨時国会に提出される可能性がある中、若年成年の消費者被害の防止・救済のための制度整備が手当てされることなく成年年齢の引き下げが実施された場合、消費者被害が増えることは明らかです。喫緊の課題として「年齢」も明記することを求めます。

2 その他意見
(内容)
 約款の事前開示に関する努力義務規定を定めてください。
(理由)
 改正民法で定型約款が定義され、相手方の請求があった場合には条項準備者は定型約款の内容を示さなければならない規定が設けられましたが、これにより相手方側に請求されなければ事前に開示する必要がないという誤解を生じる恐れがあります。また、この開示請求権を消費者が行使することは義務しがたく、こうした状況に対応するために、消費者契約法において約款の事前開示に関する努力規定を設けてください。努力義務であれば、事業者に過重な実務負担を求めるものではないと考えます。

3 その他意見
(内容)
 高齢者・若年成人・障がい者などの知識・経験・判断力の不足に乗じて過大な不利益をもたらす、いわゆる「状況利用型」の「つけこみ型不当勧誘」についても、不当な勧誘として、今回の法改正で規定してください。
(理由)
 高齢社会が進む中で、「判断力の不足につけ込み不必要な契約をさせられた」という被害が多く発生しています。また、知的障がい者が高額な商品を買わされるという被害も出ています。平成28 年の法改正で過量契約の取消規定は設けられましたが、違うものを次々と買わされたり、安いものを高く買わされたりするなど、判断力の不足につけ込んだ被害は後を絶ちません。また、若者の消費者被害は、未成年取消権の適用がされない20 歳以上で急激に増えています。
 今後も増えることが予想される、判断力の低下した高齢者や判断力不足の若者の消費者被害を未然に防止するため、消費者被害に対処するための法整備を早急に行い、実効性を確保することが必須であると考えます。

以上


意見書PDFはこちら

本件に関する連絡先:東都生協 組織運営部 立花(TEL 03-5374-4751)