教えて!野菜の哲人「作り手だから教えられる、おいしい食べ方・保存法」

皮ごと丸ごと
やさとの有機野菜セット

やさと有機栽培部会
部会長 岩瀬直孝さん

筑波山のふもと、茨城のやさと地区で有機野菜づくりに取り組むやさと有機栽培部会は、今年20周年を迎えました。その部会に所属する生産者の方々をお訪ねして、安心して食べられる美味しい野菜のお話をうかがってきました。

やさと有機栽培部会で行っている
野菜づくりについて教えてください。

私たちが本格的に有機栽培で野菜作りを始めたのは1997年。そのきっかけとなったのが、東都生協の組合員さんたちの「安心して食べられる野菜が欲しい」という声でした。当時はまだ有機野菜に関する明確な基準もなくて、有機肥料を使ってさえいれば有機野菜だと言われる時代でした。でも、私たちは有機野菜は皮ごと食べられるようでなければ意味がないと、農薬を減らすことから始めて、化学合成農薬を使用しない農法へと進めました。化学合成農薬も化学肥料も使っていないので、安心して皮ごと丸ごと食べていただけます。

有機野菜の栽培で苦労することはありますか。

有機栽培を始めた当初は、葉物野菜が虫食いで穴だらけということもありました。害虫駆除は、ただただ益虫頼み。益虫が害虫を駆除できるバランスのよい環境が整うまでには時間がかかりますし、それを継続していくことも大事。だから益虫の蜂を呼び寄せるために畑の周囲に花を植えたりもします。除草剤を使用しないので雑草取りも小まめにしないといけないですし、化学合成農薬を使わない分、作業の手間は多くなりました。

有機野菜のよさについて教えてください。

野菜は皮の下に栄養が多いと言われていますよね。それは野菜が自らを守るための抗酸化力や免疫力を高める成分を蓄えるからです。風味の強い部分でもあるので、皮ごと調理すれば野菜本来の香りや味わいがより濃厚になります。だから、皮を捨ててはもったいない。有機野菜なら安心して皮ごと食べられます。皮を剥かないと食べにくい野菜、たとえば大根などの根菜はきんぴらにすれば皮ごと美味しく食べられます。最近は野菜の皮からでる出汁で作るベジブロスも注目されていますが、これも有機野菜なら安心です。

有機野菜の美味しい食べ方を教えてください。

やさと有機栽培部会 菅原宏樹さん

ぜひ試してみていただきたいのが小松菜のサラダです。有機栽培の小松菜は硝酸値が低くて苦みがほとんどないので、生で美味しく食べられるんです。あと、にんじんはうちでは毎日ジュースにして飲んでいます。皮ごとジュースにすると味が濃くて美味い。にんじんやごぼうは皮が薄いので皮のまま調理しても気になりません。それから、にんじんは葉も食べます。香りがよく、天ぷらにすると最高です。にんじんの葉が食べられるのも、化学合成農薬を使用しない有機栽培だからこそです。

新たに有機栽培を始めた生産者さんにも
お話をうかがってみました。

やさと有機栽培部会 厚憲一さん

会社員から転職して、今年の春から生産者になりました。ここは地域ぐるみで有機栽培に力を入れているので、ベテランの農家さんが先生になって、僕たちのような新人に作物の作り方を教えてくれているんです。こういう取り組みはいいことですよね。以前は安心して野菜が食べられるのは当たり前のことと思っていたのですが、現実はそうではなくなっている。だから皮ごと食べられる安全な有機野菜を作るのは、大切なことだと考えるようになりました。

JAやさとが発行している「皮ごと丸ごと」通信では、
農家の有機栽培にかける想いや、有機野菜を使って簡単にできる
「ズボラレシピ」を紹介しています。ぜひ参考にしてください。