東都生協の理念

「21世紀宣言文」

 東都生協は「天然牛乳を守る運動」の精神と教訓を引き継ぎ、1973年6月10日に、423名の組合員と5名の職員、75万円の出資金をもって設立されました。
 東都生協が「いのちとくらしを守るために」、設立当初から掲げた目標は、「産直」「協同」「民主」の3点に集約されます。

1.安全で質の良い商品を生産者と直結して安く安定的に供給します。
2.消費者運動に正しく積極的に参加し、くらしの協同をすすめます。
3.組合員の声を大切にして、生協の民主的運営を貫きます。

 今日の東都生協の発展は、これらの目標が東京の消費者、日本の生産者に広く受け入れられたことを実証しています。

 特に「設立趣意書」と「定款」前文に高らかに謳われている「日本の農業を発展させる」ことを具体化した「土づくり宣言運動」「地域総合産直運動」の実践と推進は、「産直の東都」として広く日本の社会に知られるところになりました。
 私たちは、これらの成果を勝ち得た真髄が、自分と家族のために、自らが仲間との協同の力で運動を組織し、本当に欲しいものを「自分たちの事業と運動で手に入れた」という点があったと受けとめています。

 設立から23年が経過し、21世紀を目前に控え、時代は大きな変化を遂げつつあります。
今後、東都生協が、その歴史と伝統、理念と目標、活動と事業、これらを新しい時代にどう発展させていくのか、私たちは今、その基本方向を指し示し、広く内外に表明するものです。
 それは、ただ単に時代の変化の対応ということだけでなく、現在の東都生協が15万人の組合員、年間350億円を超える事業高というところまでに成長しており、社会的に担っている大きな期待に全力で応えていかなければならない、という自覚の表明でもあります。
 東都生協が、21世紀に向けて、さらに大きな役割を果たしていこうとした時、私たちは、時代の変化の最大の特徴を、地球環境問題と食糧・農業危機にある、と受けとめています。

 このことは、東都生協の中心的な活動と事業である「産直」に深く関わっています。東都生協が推進してきた「土づくり宣言運動」「地域総合産直運動」は、 21世紀に向けて、その重要性が益々増大してきます。それは、これらの運動が、「安全・安心な食物の確保」という意味に加えて、「人と自然を守る」という意味が一層、鮮明になってくるからです。その意味で、21世紀という時代は、時代そのものが、まさに東都生協の存在そのものを必要としている、東都生協の前進と発展を求めている、と言っても過言ではありません。

 私たちは、時代が激しく変化するからこそ、一人ひとりが協同していく、一つひとつの団体が協同していくことが、自らの生活を守っていくために益々大切になってくると考えています。また、東都生協が21世紀に向けて担っている役割の大きさからみても、これまで以上に強さと広がりをもった協同が求められていることを確認するものです。

 私たちは、東都生協が、今後、さらに産直を前進させ、あるいは協同の輪を強め、広げていくにあたって、「一人ひとりを主体におく」という民主的な運営を一層、徹底していくことが不可欠なことと考えます。また、激しく複雑に且つ急速に変化していく社会の中で、東都生協が理念に基づいた活動を展開していく際、創造性がどうしても必要です。私たちの創造性を無限に発揮させていくためにも、民主的な運営をこれまで以上に大切にしていかなければなりません。21世紀の時代にふさわしい新しい運営・参加の方法を、組合員の知恵を集めて探求していきます。

 私たちは、東都生協が21世紀を切り拓いていく際に、中心的な活動と事業を「産直運動」におきます。同時に、東都生協が担う役割の大きさから見て、東都生協の活動と事業の範囲を「いのちとくらしを守るために」の視点から、「産直運動」以外にも広がりと深さを持たせていきます。
 世界平和の実現は、人類共通の悲願です。また、平和は生協運動の前提です。引き続き、戦争・紛争を根絶していく課題など、平和活動に力強く取り組み、世界平和の実現への貢献を目指します。
 私たちは、環境問題は、いのちとくらしを大切にする上で、人類的な課題として正しく位置づけ、生協の事業と活動を通いて、その解決への貢献を目指します。
 私たちは、社会の一人ひとりが幸福の享受を実感できるようにしていくことは、当然な権利であると考えます。とりわけ高齢化社会をむかえ、引き続き福祉・助け合い活動に意欲をもって取り組んでいきます。
 これまでの東都生協の発展は、私たち組合員の願いや要求を誠実に受けとめ、ねばり強く事業化してきたことにありました。私たちは、21世紀に向けて、組合員の「意見や要求」を引き続き事業化し、要求の実現に努力するものです。

 私たちは、一人ひとりの組合員・生産者・職員にとって、来るべき21世紀が、無限なる希望と輝きの時代とするためには、東都生協が、その歴史を、主導的に切り拓いてこそ実現できると考えます。私たちが、東都生協の理念を導きとし、食と農、平和、くらし、環境、福祉、の活動と事業に取り組むことは、私たち自身の願いであると同時に、社会の発展への貢献でもあると確信するものです。

 私たちは、これらの取り組みを通じて、21世紀に東都生協が価値ある生協として存在し続けることと、自らの日々の生活に、より大きな喜びと充実を持たせ続けていくことを、同時に成就させるべく全力を尽くすことを、ここに高らかに宣言します。