みんなの活動:これまでの活動報告

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JA東京中央と「再発見!協同組合フェスタ!」を開催

共に東京の農業を知り、地域の食と農を守り、豊かなくらしの実現を目指す

2025.08.19

JA東京アグリパーク入口


オープニングセレモニー

2025年8月9日、東都生協はJA東京中央との共催で「再発見!協同組合フェスタ!」をJA東京南新宿ビルで開催し、300人を超える来場者でにぎわいました。

このイベントは、今年の「国際協同協同組合年」を記念し、東京の農業と地域社会への貢献を目指して連携協定を締結している両組合の事業や取り組みを発信することで多くの方に魅力を再発見していただくことを目的に企画しました。

◇会場の様子
1階では、来場者先着300人にJA東京中央の麦茶ティーバックをプレゼントしました。

会場内には、JA東京中央ファーマーズマーケットで取り扱っている世田谷サンドやスムージー、東都生協の商品を販売する「食のブース」や、両組合の事業や活動を紹介する「発信ブース」を配置。クイズ形式で楽しく学べる「クイズラリー」を各ブースに掲示し、多くの来場者でにぎわっていました。

3階では、協同組合について学べる「2025国際協同組合年」(IYC2025)ブース、「野菜のクイズコーナー」「トマトの重量当てクイズ」「ごみ分別魚釣りゲーム」「射的」など、子どもから大人まで楽しめる企画が盛りだくさんでした。

特に人気を集めたのが「やさいスタンプでオリジナルトートバッグ作り」。れんこんやオクラなど本物の野菜を使って、個性豊かな作品が次々と生まれました。

「地震体験! ザブトン教授の防災教室」のコーナーでは、イス型の地震動体験装置「地震ザブトン」で、過去に起こった地震のリアルな揺れを、多くの来場者が興味深く体験していました。

「つながり」をテーマにしたメッセージコーナーには約100人の方が最近感じた「つながり」についてコメントいただきました。


多くの人でにぎわう会場


[発信ブース]東都生協の取り組み紹介コーナー


[発信ブース]JA東京中央の取り組み紹介コーナー


[食のブース]東都生協のお薦め商品を販売


[食のブース]JA東京中央 かき氷を販売


[食ブース]JA東京中央の野菜・果物で作ったスムージー

◇1階「発信ブース」「食のブース」コーナー
食のブースでは、JA東京中央ファーマーズマーケットで取り扱っている世田谷産の野菜を使っ世田谷サンドやスムージー、ブルーベリージュース、かき氷を、東都生協からは50周年開発商品の「河内晩柑やわらかドライフルーツ(熊本県産)」や国産果汁ジュースを販売しました。

発信ブースでは、各団体の事業や取り組み、国際協同組合年の取り組みを発信しました。
・国際協同組合年ブース=各協同組合、社会、地域づくりに取り組みなどを展示しました。
・JA東京中央=事業や取り組み、都市農業を支える事業・くらしに備える金融について紹介しました。
・JA東京中央セレモニーセンター=取り組み内容、ペット葬などを紹介しました。
・東都生協ブース=JA東京中央との連携協定締結、事業紹介、商品案内やリサイクルびん、牛乳パックなどを展示しました。


2025国際協同組合年ポスターを掲示


受付で先着300人に麦茶ティーバックプレゼント


来場者受け付け

◇3階「体験ブース」コーナー
・「野菜スタンプを使ってオリジナルトートバックをつくろう」 = カットした野菜をスタンプにしてオリジナルのバックを作りました。
・「野菜知識クイズ」 = 野菜に関するクイズを出題、野菜の基礎知識を学びました。
・「トマト重量当てクイズ」 = 産直産地で育てている北海道産トマト、さまざまな形状、重さのものが収穫されます。トマトを選んで、正解者にトマトをプレゼントしました。
・「ごみ分別釣りゲーム」 = 釣り竿で魚に扮したごみ(可燃物、不燃物、缶など)を釣り上げ、分別してもらいました。
・「射的コーナー」 = 野菜知識クイズ、ごみ分別釣りゲームで射的の玉をゲット! 射的を楽しみました。
・「メッセージコーナー」 = 「つながり」をテーマに、来場者の皆さまから応援メッセージを頂きました。


[体験ブース]うまく出来るかな


[体験ブース]いろいろな野菜をスタンプに


[体験ブース]野菜スタンプでトートバック作り

<メッセージコーナー> ※一部をご紹介します
・産地交流訪問でお世話になった生産者さんの小松菜が届いた♡
・今日という日😊
・東都生協とJA東京中央のイベントに参加して、知らないことが楽しく学べた
・地域のつながり好きです
・共感 共有 協同
・楽しい時間をありがとう
・こちらの企画で地球や食のつながりを感じました!
・人間関係で悩んでいた時に母が一緒に悩んでくれて、今までより絆が深まった。
・びんのリユース活動が、障害者の雇用につながる―良いことがつながっている😊
・周りにいる人たちを大切にしたい
・東都生協の活動―地域のつながり大切にしたい―参加します♡
・今の時代、人とのつながりの大切さを感じます


[体験コーナー]トマト重量当てクイズ


[体験コーナー]ごみ分別釣りゲーム


[体験コーナー]射的コーナー


「地震ザブトン」体験コーナー


つながりをテーマに多くのメッセージが届きました

<参加者アンケート> ※一部をご紹介します
・日常では気にしたことのない知識を得ることができ、とても有意義だった。
・JA東京中央の活動内容を詳しく知ることができた。
・2025国際協同組合年(IYC2025)について、知人や家族に教えていきたいと思った。
・JA東京中央と東都生協の関わりや触れ合いが学べた。
・地震体験がとてもリアルで驚いた。
・子どもも大人も楽しめるイベントだった。
・知らないことをたくさん学べて、とてもためになった。
・野菜のことを楽しく学べた。

今回の再発見! 協同組合フェスタには双方の組合員や役職員が訪れており、2025国際協同組合年に当たっての協同組合への理解、認知を広げる取り組み、両組合の取り組みを再発見する機会となりました。

2025年度の活動計画として、2025国際協同組合年に当たっての協同組合への理解、認知を広げる取り組み、東京の農業を知る農業体験、教育研修を介した人材交流の推進や、さらなる情報発信の強化を柱に活動を進めることを両団体で確認しました。

東都生協はこれからもJA東京中央との連携を強めながら、引き続き、東京の農業を知り、地域の食と農を守り、豊かなくらしの実現を目指す取り組みを一緒に進めていきます。

2025.08.06

講師は、魚譜画家の長嶋祐成氏

2025年8月2日(土)、東都生協「食」の学校の夏休み課外授業として、「魚を描いて学ぼう! 〜食を見つめるアート体験〜」を開催しました。

会場の東都生協さんぼんすぎセンター地下ホール(杉並区下高井戸)には、組合員のお子さんたち12組・計14人の小・中学生と3人の未就学児が参加し、魚を見て描く特別な90分間を過ごしました。

◆ 実物の魚と向き合い、自由に描く
講師は、魚譜画家(ぎょふがか)として活躍する長嶋祐成(ながしま ゆうせい)氏。海の生きものたちを絵に描くことで、命の美しさや多様さを伝える活動を続けています。

みんなで描く対象は、前日に仕入れた新鮮な「真さば」。中でも今回は「関さば」を選びました。大分市佐賀関(さがのせき)沖「速吸の瀬戸(はやすいのせと)」で一本釣りで漁獲され、佐賀関町の認定シールが貼られた本物です。

子どもたちは、目の前の真さばの形や模様、質感をじっくり観察しながら、"プロ仕様"の絵の具を使って自由に表現しました。

長嶋氏からの「正確に描くことが目的じゃない。自分が感じた世界を描いてみよう」といったアドバイスも受けながら、会場にはのびのびとした創造の空気が広がりました。

描く対象をみんなでじっくりと観察

本日の題材、真さば(関さば)

個別にアドバイスする長嶋先生

◆ 「食」をテーマにした、見る・感じる・表現する学び
本企画は、動画で学ぶ東都生協「食」の学校の取り組みの一環で、日々の「食」についてより深く見つめ直す体験の場として開催したものです。

生き物としての魚の姿に向き合い、自分の目と手でかたちにしていくプロセスを通じて、「食べる」という行為の背景にある命の重みや自然の多様性にも触れる、そんな時間となりました。

感じたままをスケッチ

作品を切り抜き

額装して完成!

◆ 作品は額装して持ち帰り、記念に
完成した作品は、各自で切り抜いて額装し、世界に一つだけの「魚のアート作品」として持ち帰りました。最後には参加者全員で記念撮影も行いました。


参加者の作品


どれも感性あふれる作品です


こちらは長嶋先生の作品!

【参加保護者の声より】
「本物の魚を見て描くだけでなく、"世界観を切り取る"という体験が新鮮でした」
「そっくりに描くのが正解じゃない、という考え方が子どもに響いていた」
「子どもが自由に、自分の感じた世界を表現できて、楽しそうでした」
「長嶋先生が子ども一人ひとりの良いところを見つけて声を掛けてくださり、とても温かい時間でした」

東都生協「食」の学校では、これからも"見て、感じて、学ぶ"体験を大切にした企画を通じて、「食」への関心や学びを広げていきます。


長嶋先生と、それぞれの作品を手に笑顔の参加者の皆さま

JA東京中央との連携協力会議を開催

共に東京の農業を知り、地域の食と農を守り、豊かなくらしの実現を目指す

2025.07.22

東都生協は2025年7月18日、JA東京中央本店会議室にてJA東京中央と2025年度連携協力会議を開催しました。

2022年に東京の農業と地域社会への貢献に関する連携協定を締結してから、両団体の協力会議は今年で4回目を迎えました。両団体の役員、関係者が出席し、2024年度の実績報告と2025年度の活動計画について議論しました。

JA東京中央 代表理事組合長の宍戸幸男氏は開会に当たり、「7月4日にJAはだの主催で国際協同組合サミットが開催できたのも、まさに協同組合間連携があったからこそ実現できた。2025国際協同組合年に当たり、連携協力会議の中でさらに活動を深めていきたい」と述べました。

東都生協の風間理事長は「産地直結で52年歩んできたが、日本の農業は縮小傾向にある。消費者の組織として「使う責任」「食べる責任」への努力のみならず生産への関わりの推進など、生産と消費の持続的な関係づくりに向けた協同組合の役割と活動をさらに発信していきたい」とあいさつ。

続いて、東都生協とJA東京中央による2024年度の連携企画を振り返りました。
2024年度は「とうとフェスin杉並」でのJA東京中央の「花の寄せ植え体験」ブース出展、地域を歩いて知る体験企画「農ツアー」や伝統工芸体験企画「わら細工体験」の開催、JA東京中央「農業感謝まつり」への東都生協のブース出展など、さまざまな企画を協同して実施してきました。

参加者からは「とても楽しい時間を過ごせた」「次回の企画も楽しみにしています」などの感想を頂き、全ての体験企画で定員を上回る大盛況となったことが報告されました。


花の寄せ植え体験

郷土を研究し歴史を守る「わら細工体験」


農業感謝まつりに東都生協が出展




農業感謝まつり会場にて


歩いて地域を巡り、身近な農業を知る「農ツアー」

2025年度の活動計画では、2025国際協同組合年に当たっての協同組合への理解、認知を広げる取り組み、東京の農業を知る農業体験、教育研修を介した人材交流の推進や、さらなる情報発信の強化を柱に活動を進めることを両団体で確認しました。

まずは、本年8月9日(土)午前11時~午後3時、東都生協・JA東京中央の共催で「再発見! 協同組合フェスタ」を開催します。
[会場:JA東京アグリパーク(1階)、東京都農業会館 会議室(3階) 住所:渋谷区代々木2-10-12 JA東京南新宿ビル ※JR「新宿駅」南口より徒歩4分]

詳しくは、再発見! 協同組合フェスタのご案内をご覧ください。

引き続き、東京の農業を知り、地域の食と農を守り、豊かなくらしの実現を目指す取り組みを、双方の連携の下で進めていきます。




JA東京中央の皆さま


東都生協から出席した役職員

「見て、聞いて、体験、協同組合フェスティバル」に出展しました

協同組合の魅力を伝える国際協同組合デーイベントに参加

2025.07.17

東都生協のブース

産直のかんきつ「河内晩柑」を味わう来場者

東都生協は2025年7月5日、東京国際フォーラム(東京・有楽町)で開催された「見て、聞いて、体験 協同組合フェスティバル」にブース出展しました。

国際協同組合デーに合わせて開催されたこのイベントは、協同組合の活動やSDGs(持続可能な開発目標)について楽しく学び、実感していただくことを目的に、2025国際協同組合年(IYC2025)全国実行委員会が主催。

当日は生協の他、農協、漁協、共済など、計38の協同組合が出展しました。それぞれの団体は、取り組みを紹介する展示やクイズ、体験型の企画、新鮮な野菜や東京江戸野菜などの販売を通じて、来場者に活動内容を伝え、実際に体感してもらう工夫を凝らしました。想定を超える4,000人の来場者でにぎわいました。

東都生協のブースでは、環境、福祉、平和、協同組合間連携、東都生協50周年の取り組み、地域の誰もが立ち寄れる場「ふらっと・とーと」、試食イベント車について紹介しました。

50周年の取り組みに関連した試食コーナーでは、50周年開発商品の「河内晩柑やわらかドライフルーツ(熊本県産)」を配布。試食した来場者からは「程よい酸味と香り、独特な食感でおいしい」と好評でした。今回は試食のみだったため「販売していないのは残念」との声も多く頂きました。

環境への取り組みに関しては、3R活動をクイズにしたミニゲームコーナー「エコゴルフチャレンジ」を設置しました。ゴルフに挑戦した人からは、「楽しく学ぶことができた!」「東都生協の組合員だけれども、知らないことがあった」などの感想を頂きました。子どもから大人まで幅広い層の方に挑戦していただき、大盛況となりました。

展示、試食、体験を通じて東都生協の活動を紹介することで、SDGs達成に向けた協同組合への関心を高め、その認知を広げる機会としました。東都生協はこれからも多くの協同組合との連帯を強めながら、平和と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めていきます。



クイズに挑戦 〇かな? ✕かな?


ゲーム「エコゴルフ」にチャレンジ!


大にぎわいの会場

写真提供:IYC2025全国実行委員会

「2025国際協同組合年記念 協同組合サミット」に参加しました

活発な意見交換と交流を通じて、生協、JA、韓国農協中央会がつながりを深化

2025.07.12

JCA代表理事専務の比嘉政浩氏が基調講演


左から生活協同組合パルシステム神奈川 代表理事専務理事 網野 拓男氏、
東都生協 風間理事長、
韓国農協中央会 日本事務所所長 キム ヨンス氏


左からJCA 代表理事専務 比嘉 政浩氏、
JAはだの 代表理事組合長 宮永 均氏、
JA東京中央 代表理事組合長 宍戸 幸男氏

2025年7月4日、東都生協はJAはだのが主催する「2025国際協同組合年記念 協同組合サミット」に参加しました。

JAはだのでは例年より、国際協同組合デー(7月第1土曜日)に合わせて記念行事を企画してきました。今年は2025国際協同組合年(IYC2025)を記念して、同組合と日頃から交流のある東都生協、JA東京中央、パルシステム神奈川、韓国農協中央会の計5団体、約130人が参加しました。

JAはだの代表理事組合長の宮永 均氏は開会に当たり、「2025国際協同組合年を一過性のものとせず、これを契機に協同組合間協同をさらに進めたい。その礎となるよう相互理解を深めたい」と述べました。

基調講演に立った日本協同組合連携機構(JCA)代表理事専務の比嘉 政浩氏は、「協同組合の果たす役割と進むべき未来について」と題して、協同組合への期待と評価や、国連が定めたIYC2025のテーマ「協同組合はよりよい世界を築きます」について講演。

「この機会を生かし、協同組合のアイデンティティのさらなる発揮とSDGs達成に向けて、学び、実践し、発信する取り組みを進めましょう」と呼び掛けました。

続くパネルディスカッションでは各団体の代表者が登壇し、JCA 比嘉氏を司会に2つのテーマについてそれぞれ報告が行われました。

東都生協 風間理事長は「協同組合間でどのように連携を進めていくべきか」について発言。「産直を掲げる生協として、産地を守るために生協として生産活動に関与していきたい。大学生協やワーカーズコープと連携して多様な人たちを巻き込んでいきたい」と述べました。

「IYC2025に際し、どのような実践を進めているか、その狙いは」とのテーマに、JAはだの 宮永氏は「毎年国際協同組合デーの取り組みを企画しているが、今年はチラシや記念品の配布で認知度の向上に取り組んでいる」と述べました。

現在、東都生協とJA東京中央とは連携協定を、JAはだのとパルシステム神奈川は地域連携協定を締結しており、協同組合間の連携を進めています。JAはだのは、韓国農協中央会と友好農協締結を結び、韓国の農協グループとの交流を深めてきました。

協同組合の意義や協同組合間連携の重要性を確認し合う活発な意見交換と交流を通じて、協同組合間のつながりを互いにより一層深める機会となりました。



パネルディスカッションでは代表者が登壇


約130人が参加しました


協同組合サミット参加者の皆さまと


6生協が食料・農業・農村基本計画策定に伴う院内集会を開催

農業を守るために、消費者・生産者の声を反映させましょう!

2025.04.03

農水省に6生協による新基本計画への提言を提出


提言について説明する風間理事長


消費者の立場から橋本組合員常任理事が発言


紀ノ川農協副組合長理事 西野文敏氏
生産現場からの要求・要望を発言


院内集会の第1部をまとめる石渡副理事長

生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、生活協同組合連合会コープ自然派事業連合、生活協同組合連合会アイチョイス、グリーンコープ生活協同組合連合会、パルシステム生活協同組合連合会、東都生協の6生協は2025年3月27日午後、合同で衆議院第二議員会館で食料・農業・農村基本計画策定に伴う意見交換会(以下、院内集会)を開催しました。

2024年6月に施行された改正食料・農業・農村基本法に基づく新たな食料・農業・農村基本計画が、近く閣議決定される見込みです。近年、食料・農業を取り巻く状況は大きく変化しており、新基本計画が国内の農畜水産業を守り、日本の食料自給率を向上させる重要な転機となる可能性があります。

今回の集会に先立ち「農業を守るために、消費者・生産者の声を反映させましょう!」をテーマに掲げ、6生協が思いを共有し、10月の学習会で得た成果を基に取りまとめた「食料・農業・農村基本計画」策定に関する提言(PDF)を、農林水産大臣へ正式に提出しました。

院内集会では、6生協より消費者団体の立場から共同で策定した新しい基本計画に対する提言を発表するとともに、農林水産省や国会議員、参加者と意見交換。消費者、組合員、生産者団体の声を伝え、提言が食料・農業政策や新基本計画に反映されるように取り組みました。

食料・農業への社会的関心が高まる中、集会にはオンラインを含めて約300人が参加。6生協からは96人、国会会期中にもかかわらず国会議員17人、農林水産省9人が参加するなど、6生協合計320万世帯の思いを結集した提言の影響力が感じられる場となりました。

生産者の意見を積極的に取り上げ、国内農業の現状を伝えることで、政策形成での生産者視点の重要性を改めて認識させられる機会となりました。6生協は今後、提言に対する政策動向を継続的に注視しながら対応していきます。

「食料・農業・農村基本計画」策定に関する提言(PDF)はこちら



院内集会の概要

開会に当たり生活クラブ事業連合生活協同組合連合会会長 村上彰一氏は「国際情勢が緊迫する中で、日本が食料を調達できなくなることは目に見えている。『令和の米騒動』は供給不足が要因で、米不足は来年も続くと考える。担い手にとって再生産できることが最低限の課題であり、夢を持てる政策にすることが必要。日本の農業を元気にして、国の存立基盤である食料の自給、農業・農村の再生を実現するために、消費者・生産者と政府が協力し合っていきたい」と述べました。

続いて東都生協の風間理事長から、院内集会に先立って農林水産省に提出した提言を説明。食料自給率目標の明示と実現に向けた対策、国内農業を守るための適正な価格形成、環境保全型農業とみどりの食料システム戦略、消費者の立場に立った食料の安全確保の強化、農村政策の5つの柱から成る提言の概要を示しました。

消費者を代表してグリーンコープ生活協同組合ふくおか理事長 坂本寛子氏、東都生協・橋本組合員常任理事、パルシステム生産者・消費者協議会 副代表幹事渡部さと子氏、生活クラブ生活協同組合連合会・東京副理事長 豊崎千津美氏、生活協同組合コープ自然派しこく理事長 泉川香氏、生活協同組合連合会アイチョイス専務理事 見崎一石氏が登壇。

「食料を輸入に頼ることを当たり前とせず、国内で賄えるようにしてほしい」「生産者が持続できるように農山村地域の活性化を」「持続可能な食と農を農政の基本に」「国産品を安心して利用できるように、生産者をしっかり支える仕組みを」「こだわって作った商品を消費者が主体的に選べるように、原料原産地、遺伝子組換え、ゲノム編集食品など消費者目線の表示を」「農業は生産者だけの問題ではない。政府と生産者・消費者が一体となって行動すべき」「国民に情報を開示し、生産者・消費者の声を農政に反映させる仕組み作りを」「国民の命を守るためには、まず苦境にある国内生産者を支援し、安心して農業を続けられる環境整備を」「自給率向上と食料の安定供給に向け農林水産関連予算の大幅な増額を」「地域の農畜水産業の多様な担い手をしっかり支えられる直接支払い制度を」「優良種子の安定確保のために農家の自家採種を認めるべき」「有機農業推進と出口戦略としての学校給食での活用、食育の強化を」など、新基本計画への消費者の切実な願いを訴えました。

生産者からは、長野県・のらくら農場代表の萩原紀行氏、山形県・庄内みどり農業協同組合・遊佐町共同開発米部会事務局長の池田恒紀氏、和歌山県・紀ノ川農業協同組合副組合長理事の西野文敏氏が発言。

「資材高騰や異常気象の常態化で若手の廃業が相次いでいる。農産物が不足しない限り価格転嫁が進まないのが現状」「生産と消費が対立しない、生協などが実践する持続可能な仕組みを取り入れてほしい」「担い手不足は喫緊の課題。新たな担い手の育成に向けた目標設定と切れ目のない支援制度を」「中山間地域の小規模な農地にも支援制度を」「輸出促進よりも国内の消費者への安定供給に向け計画の再考を」など、生産現場の実情を踏まえた発言がありました。

提言を受けて、農林水産省の各担当者が回答。「食料自給率は新基本計画では『5年後45%』に設定し、国内生産の増大に向けて施策を講じていきたい」「自給率目標と併せて、食料安全保障を確保するために農地面積、49歳以下の担い手人口、単収などで数値目標を設定する」「新規就農は規模の大小を問わず支援している」「生産者、食品事業者が持続できる適正なコストを話し合い、消費者の商品選択に資する活動を進める事業者を支援する仕組みづくりを行う」「有機農業に安心して取り組めるような支援や学校給食への活用、販路の確保に向けて関係省庁、地域間、事業者間での連携を進める」など新基本計画策定に向けた考えを説明しました。

最後に生活協同組合連合会コープ自然派事業連合理事長 岸健二氏は「学習会や協議など3年にわたる取り組みを踏まえて取りまとめた」と提言に至る経過を説明。「米の高騰など物価上昇が進み、エンゲル係数は半世紀ぶりの水準にある。近年のインフレは供給不足が原因。生産基盤の縮小が加速する中で『5年後の自給率45%』は並大抵の努力では達成できない。食料を支える農業の再生に向けて、これからが議論の始まりと受け止めている。引き続き消費者・組合員の声に応えて取り組んでいきたい」と締めくくりました。

「Tohto Week 2024」を新宿にて開催しました!

お気に入りを見つけ、産直・国産へのこだわりを知り、食料問題について考える

2025.04.02

2025年2月25日から3月1日まで、東都生協は取引先団体の東都生協産直生産者団体協議会と東都生協共生会との共催で「Tohto Week 2024」をJA東京南新宿ビルで開催し、約1,700人が来場しました。

このイベントは、東都生協の組合員にお気に入り商品を見つけ、産直・国産へのこだわりを知り、広く消費者に日本の食料問題について考えていただく機会とし、商品の利用や仲間づくりにもつなげようと開催しました。

会場中央には、東都生協プライベートブランド「わたしのこだわり」商品を展示。今回は組合員がお気に入り商品を見つけられるように、周りに配置した試食ブースで試食や試飲で実際に味わいながら、産直産地やメーカーとの交流を深めました。

期間中、産直産地・メーカー5~6団体が日替わりで参加しました。
毎日3回、参加団体によるミニ学習会を開催。来場者のうち先着10人がミニ学習会に参加し、産直産地の生産者やメーカーの担当者から商品のこだわりについて説明を受けました。

産直・国産の食材を中心に調味料、レシピがセットされた「おかずキット」の実演では、普段利用していない組合員も「簡単に調理できるのね」などと熱心に聴き入る様子が見られました。

また、参加団体によるお楽しみ企画も開催。「野菜の花当てクイズ」「トマトの重量当てクイズ」「わけありかんきつの詰め放題」では会場内には笑い声が広がり、子どもから大人までが楽しみました。







参加団体紹介
産直産地・メーカー29団体が参加しました。



◇試食・試飲コーナー




◇ミニ学習



◇わけありかんきつの詰め放題



多くの組合員や一般消費者など来場者に喜んでいただけるように、さまざまな企画を実施しました。

  • 組合員とお友達(東都生協未加入者)来場者2人に「わたしのこだわり」商品プレゼント
  • 東都⽣協公式SNS 登録者へプチプレゼント
  • 来場者アンケートに応えて抽選でプレゼント
  • Tohto Week 期間中 新規加入特典「わたしのこだわり」商品3点プレゼント

◇参加団体コメント

  • 「試食もおいしい」との感想が多かった
  • 東都生協組合員以外の方が多くて驚きました。商品のご質問やご感想などの会話をしながら、積極的にご試食いただき、私たちも楽しみながら対応することができました。
  • 組合員と関わる機会は貴重でした。組合員が何を商品に求めているのかがしっかりと伝わってきました。生産者としての責任感を改めて感じました。今後の業務につなげていきます。

◇来場者コメント

  • 試飲・試食、おかずキットの実演、野菜詰め放題などが良かった。野菜や商品の販売があれば良い。
  • 直接、メーカーや産地の皆さんと商品の試食を通じで交流できて良かった。普段利用していない商品を試食でき、おいしかったので次回利用してみます。

◇「Tohto Week」と連動してさまざまな開催
会場のJA東京南新宿ビル3階では「Tohto Week」と連動したさまざまな企画が開催されました。

☆ 家庭用品見本市 ☆
2月25日は「家庭用品見本市」が東都生協共生会の主催で開催されました。

10社のメーカー・取引先の協力の下、114人の来場者と交流しました。来場者からは「メーカー担当者から直接、商品の説明を聞けてとても貴重な体験だった」などの感想が寄せられ、メーカー・取引先からは、商品を通じて利用者と交流できたことに喜びの声が寄せられました。





2月26日は、防災・減災学習会「~カードゲームで体験しよう~被災地した時の生活再建について」を開催しました。「3.11を忘れない」作業チーム・東都生協災害ボランティア運営委員会が共催しました。

3月1日は「親子で遊んで学べる東都生協ラボSDGs大作戦!」を東都生協 組合員活動委員会の主催で開催しました。

このイベントは組合員や大学生(明治大学政治経済学部食料経済学研究室)が研究員となって、ワークショップ「ごみ分別魚釣りゲーム」「野菜の花当てクイズ!」「パネルシアター・紙芝居」「バウムコースターを作ろう」など、子どもたちが学んで楽しめる盛りだくさんな内容となりした。

また、健康的な食生活を送る上で参考になる「野菜の重さをはかってみよう」「豆の世界へようこそ」「牛乳パックパズル」といった展示もあり、親子で楽しめる催しになりました。土曜日ということもあり、多くの家族連れが訪れていました。

今回も東都生協の組合員と産直産地の生産者やメーカーの皆さんが直接交流し、話し合うことの大切さが感じられる機会となりました。また、これまで利用したことのない商品の試食を通じて、新たな利用につながり、新規組合員をお迎えする機会ともなりました。


6生協合同で改正食料・農業・農村基本法に関する学習会を開催

―「食料・農業・農村基本計画」に消費者・生産者の声を反映させるために―

2024.10.30
講師の東京大学大学院教授・安藤光義氏

講師の東京大学大学院教授・安藤光義氏

2024年10月11日、国内で活動する6生協合同で「食料・農業・農村基本法改正に伴う学習会―農業を守るために、消費者・生産者の声を反映させましょう!」をオンライン開催しました。東京大学大学院教授の安藤光義氏が講演し、生産と消費の現場からも改正法の問題点が提起されました。

「農業政策の憲法」ともいわれる食料・農業・農村基本法は本年5月、制定以来25年ぶりに改正されました。同法に基づき2024年度内に中長期的な指針となる食料・農業・農村基本計画が策定される見通しです。学習会は生協6団体、パルシステム生活協同組合連合会、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会、生活協同組合連合会コープ自然派事業連合、生活協同組合連合会アイチョイス、グリーンコープ生活協同組合連合会、東都生協が合同で開催し、消費者や生産者、取引先、関係者など530人が参加しました。

冒頭、6生協を代表してあいさつした東都生協・風間理事長は「6生協は長年にわたり消費者と生産者を結び、安全で持続可能な食と農を推進してきた。法改正に際しても全国の消費者・生産者の声を集め国に提言してきた。食料自給率向上や環境保全型農業の推進、適正な価格形成、食の安全強化など改正法の課題を整理し、基本計画へ私たちの提言を反映させていくために開催した」と学習会までの経緯に触れ「深刻さを増す食料・農業問題の解決に向けて、6生協が共に輪を広げて進んでいきたい」と述べました。

講演では「『食料・農業・農村基本法』と今後の課題―見直しの経過にみる問題点と今後の政策の方向性―」をテーマに東京大学大学院教授・安藤光義氏が解説しました。

"喉元過ぎれば熱さを忘れる"農業政策
安藤氏は初めに1972年の世界的な異常気象に端を発する食料危機や第1次石油危機、狂乱物価など背景とした農業政策の変遷を説明。「食料・エネルギーが安全保障上の課題となり国内外で食料問題への関心が高まり、有機農業や地域社会農業への動きも起きたが、日本が経済競争力を回復していく中で"喉元過ぎれば熱さを忘れ"、政府は農業を切り捨て、農産物輸入自由化などによる物価安定を選んだ」として「現在も当時と似た状況にあり、食料安全保障への機運はたちまち、ほごにされかねない」と指摘しました。

官邸主導で進められた基本法見直し
今回の基本法見直しの経過については「基本法検証部会が立ち上がる2022年9月までに重要項目が確定していた」と官邸主導で見直しが進められたことを明らかにし「すでに敷かれたレール上を進んでいるだけ」「生産者を支える直接支払制度など新機軸もなく、期待感はない」と評価しました。主要政策として打ち出す「スマート農業」「輸出促進」「持続可能な食料システム」「適正な価格形成」「社会的弱者への対応」などは、改正前から方向性が決まっており、関連する法整備も終了。ロボット、AI、IoTなど先端技術を活用した「スマート農業」は予算も確保され、すでに事業が進められています。

改正基本法の4つの問題点
基本法検証部会と改正基本法の問題点として①今回のキーワードは食料安全保障だが、基本理念には核となる哲学がなく、既存の政策を束ねただけ ②食料安全保障につながらない別格の官邸案件「輸出促進」を盛り込んだため、食料政策分野がいびつに突出 ③有機農業が農業政策ではなく環境政策に区分された ④多面的機能の発揮と農村振興をつなぐ政策が不十分―の4点を指摘しました。

「再生産できる価格」ではなく「合理的な価格」に
今回の法改正のポイントとなった「生産・流通コストを反映した価格形成」については「"食料システムのための合理的な価格"となってしまい"生産者が再生産できる価格"ではない点が問題だ」としました。また「非正規雇用者が約4割を占め、低所得者が増える中で価格転嫁の方法を誤ると国民の理解は得られない」「フードバンク活動支援という対症療法では根本的な解決にならない」「米国のフードスタンプのような低所得者向け支援制度は検討もされていない」とし「低迷する農産物価格への代償として、食料安全保障のために直接支払いを行うのが筋だ」と唱えました。

食料安全保障に貢献できない加工食品を「輸出促進」?
「食料安全保障」のための具体策として示された「輸出促進」については、その内訳がアルコール飲料や調味料、菓子、栄養補助食品といった加工食品によって占められていることを示し「これらは緊急時に国民に直接貢献できる品目ではない」と指摘。「コメの輸出なら生産基盤の維持につながるかもしれないが、対米従属の下で今の政府に輸出補助金を付けてでも米国と競合してコメを輸出する勇気があるのか」と疑問を呈しました。

農業生産基盤強化のための直接支払いは用意されず
農業政策の主役になると思われた有機農業や環境保全型農業は、農業政策ではなく環境政策に位置付けられました。安藤氏は「直接支払いが、農業生産支持や食料安全保障のためではなく、環境便益の増進のための制度になった」と話します。

「生産性の高い農業=スマート農業」としたことについては「(みどりの食料システム戦略が2050年までに目指す)『有機農業100万ha』は目指さないと宣言したに等しい」「農業の見直しを通じた、社会の抜本的な転換への芽が摘み取られた」と評価。政策対象をフードチェーン(食品の流れ)や生態系サービス(生物多様性の恵み)、そのための技術にするのではなく、農業生産者を向いた政策とすべきだ」として環境保全型農業に対する直接支払いの拡充を訴えました。

「上からの技術革新」ではなく「生産現場からのボトムアップ」を
以上を踏まえ、安藤氏は改正法の狙いを「上からの技術革新」と表現。新たに加わった基本理念「環境と調和の取れた食料システム」が食料安全保障や農業の持続的発展、多面的機能の発揮など他の基本理念を規制し、その中心に食品産業が構える構図です。農業者を資本に包摂し、農業の食品産業化を進めた具体的な姿が官邸案件の「輸出促進」「輸出産地の形成」だとしました。

一方、改正法に「農業の自然循環機能の維持・増進」「地域社会の維持」が盛り込まれたことにも言及。これを手掛かりに生産現場からの対抗軸を形成し、偏った政策体系の再配分を図ることを提言しました。

その具体例として、集落営農による地域社会の維持や自然循環機能を生かした農法の根本的な刷新など、生産現場から政策を積み上げて農村の総合的な将来像を示していくことの重要性を強調。

「有機農業などへの転換を支援するための直接支払制度を充実させ、こうした動きを学教給食などで地域が支え、再生可能エネルギーを含めた循環型の地域経済を構築してこそ、5つの基本理念がまとまって機能できる」「今の食料危機にあって、これ以上円安が進み、中東にその95%を依存する原油価格が上昇すれば日本は本当に"沈没"しかねない。次世代のためにも農業と再生可能エネルギーが切実な課題だ」と締めくくりました。


生産と消費の現場からの報告と要請
続いて稲作、酪農、畜産、有機農業に携わる生産者、消費者の立場からそれぞれ問題提起がありました。

<米生産者> 那須野農業協同組合・どてはら会(栃木県) 前会長 山口 勉氏
「以前は地域で共同する集落営農が盛んだったが、今はどの品目でも生産原価を割る状況。農業の魅力が無くなり、高齢化する中で後継者も育たず離農が進んでいる。今年の米の高騰では、農協にも米が集まらず困惑している。これまで生産調整を進めて多品目複合経営に切り替えてきたのに、再び米が過剰生産にならないか心配だ。今回の米不足は、中国の1年半に比べて日本の1.5カ月分という政府米の備蓄水準、備蓄があるのに放出しないことなど、政府の責任が大きい。生産現場の窮状や生産を担う私たちの思いが政治に届かないと感じている」

<酪農生産者> 千葉北部酪農農業協同組合(千葉県) 代表理事組合長 髙橋 憲二氏
「農業従事者の主力は65歳以上と高齢化が進み、地元も今後5年で急減する見込み。酪農生産者はこの2~3年で所得がマイナスとなり、85%が赤字経営とされる。"2014年バター不足"を受け、政府が主導する畜産クラスター事業で巨額の設備投資により規模拡大が進んだが、規模が大きいほど赤字幅も大きい。直接所得補償には希望を持てず、適正な価格形成が最重要課題。新規就農については、国から交付される年間150万円では経営が成り立たず、途中で断念するケースも生じている。消費者に支持される商品作りはもとより、気候変動に対応した設備投資、輸入飼料に依存しない自給飼料の生産など持続可能な畜産を確立していきたい」

<畜産生産者> 合名会社宮北牧場(北海道) 代表取締役 宮北 輝(みやきた てる)氏
「60年前から海外品種のアンガス牛を導入し、2007年から輸入穀物の配合飼料を使用せず、地域の国産飼料で肉牛生産に取り組んできた。一般的な肉牛生産の9割は輸入飼料だが、2008年「リーマン・ショック」で投機資金が穀物市場に流入し輸入飼料が高騰、価格の不安定化が進んだ。海外品種のため公的支援が受けられない中、パルシステム生協組合員に支持され、安全・安心で環境にも配慮した生産活動を進めてきた。海外品種の肉牛生産には補助が無く、黒毛和種に偏った政策・補助金制度は見直しが必要。水田転作に偏らず一般畑での自給飼料生産も支援すべき。耕種農家などと連携して、地域で多面的機能を発揮する国産飼料を肉牛生産に活用して自給率向上につなげる事例を示し、うねりを作っていきたい」

<有機農業生産者> のらくら農場(長野県) 萩原 紀行氏
「新規就農者が結集し、土づくりを行い有機JASに準じた生産方法で年間50~60品目を栽培している。農業に限らず労働人口激減への対処は喫緊の課題。地元でもリーダー格や若手の廃業、人材流出などで10年以内に農家の6割が消滅すると見ている。気候変動や資材高騰で経営は厳しいが、価格転嫁できない社会構造になっている。農道・防獣柵整備などの行政の支援も現場に寄り添うものとなっていない。6次産業化に向けた会合出席や、直接支払制度(中山間地域等・環境保全型農業)の交付額の割に煩雑な手続きなどで、農業の時間が奪われている。福祉のセーフティーネットを整えた上で、生産者が価格転嫁できるようにしてほしい」

<消費者> グリーンコープ生活協同組合おおいた 理事長 薬師寺 ひろみ氏
「コロナ禍や戦争、温暖化による災害多発など、輸入に頼る食料・資材・エネルギーの高騰や国際物流の混乱が生産者と消費者の暮らしに大きな影響を与えている。グリーンコープ生協連合会では、生産者と連帯・共生する新しい産直を通じて、安心・安全な食べ物を守り、地域を再生する運動を進めている。循環型酪農や生産への参画、規格外青果・未利用魚の活用など、力の限り生産者を応援している。生命線としてかけがえのない一次産業を、政府としても支援する仕組みを作ってほしい」



閉会に当たり、パルシステム生活協同組合連合会理事長・大信政一氏は今回の学習会について「基本法の課題を整理し、知見を深めることができた」と振り返った上で「安藤先生のお話からは、基本理念、食料政策、有機農業政策、農村政策での4つの問題点が示され"上からの技術革新の推進"ではなく"農村の現場からの対抗軸の形成"を目指し、偏った政策体系の再配分を図る道筋として、直接支払いの実施、水田維持への支援、食料増産への予算確保、消費者との交流・相互理解の推進、集落営農支援など政策の方向性が示された」との受け止めを語り「6生協の提言とも重なる部分も大きい。生産者と消費者からの声も踏まえて、今後示される基本計画案に対する意見集約など、準備を進めていきたい」とまとめました。



講師、生産者の皆さまと主催生協代表

講師の安藤先生、生産者の皆さまと主催生協の代表

地域の誰もが立ち寄れる場「ふらっと・とーと」オープニングセレモニーを開催

食を通じて、そこに集まる多世代が交流できる居場所づくりを進めています

2024.07.18
東都生協みんなで居場所をつくろうプロジェクトメンバー

東都生協みんなで居場所をつくろうプロジェクトメンバー

"オープンの儀"で一緒に看板を設置。右から足立区・長谷川副区長、チョイふる・栗野代表、東都生協・石渡副理事長

「ふらっと・とーと」外観。地域がつながるプラットホームを目指します

「ふらっと・とーと」外観。地域がつながるプラットホームを目指します

2024年7月15日、地域の誰もが立ち寄れる場「ふらっと・とーと」のオープニングセレモニーが、東都生協の足立センター(足立区中央本町4-15-3)にて開催されました。

主催は「東都生協みんなで居場所をつくろうプロジェクト実行委員会」。プロジェクトには東都生協の呼び掛けに応じた地域の支援団体や大学など多様なメンバーが集結し、ふらっと・とーと開設へ向けて準備を進めてきました。

同施設は、東都生協の配送拠点・足立センター内の使われていない倉庫を改装。区内の困窮子育て世帯への食料支援や、親子を居場所で支える子ども食堂などに取り組む一般社団法人チョイふる(栗野泰成代表)が、その運営を担います。

一般社団法人チョイふるでは、施設の整備や運営に充てるためにクラウドファンディングを実施。セレモニーに参加した関係者やクラウドファンディング支援者は、施設内を見学して交流しました。

名称には「困っている人も、今は困っていない人も、そして支える人も、ふらっとどうぞ」という意味と、「支援する人とされる人の垣根をなくし、対等(フラット)な関係性を作りたい」との思いが込められています。

目指すのは「地域がつながるプラットホーム」。中心となるスペースは、子どもから高齢者まで、誰でも気軽に集えるキッチン、リビング、ダイニングといった「居場所的なゾーン」。フードバンクやフードパントリー、状況によって選べる相談スペースといった「支援的なゾーン」もあり、それらがはっきり区切られることはなく、緩やかにつながる設計となっています。

セレモニー冒頭で、東都生協・石渡副理事長が関係者を代表して開会あいさつ。
「私たちは福祉政策として"誰もが健康で安心して暮らせる地域社会づくり"を掲げ、居場所づくりを検討してきた。地域で多様な人が世代を超えて集い、子育てやシニアライフを支え合うコミュニティなどを思い描く2030年ビジョンに基づき、地域の方々と一緒に作り、運営する居場所づくりを決めた。私たちはふらっと・とーとに集う仲間の一人として、食と農の力を発揮していきたい」と述べました。

続いてプロジェクトメンバーを代表して、一般社団法人ちょいフル代表理事の栗野泰成氏が登壇。「人とのつながりが希薄化する社会構造にあって、子ども食堂を軸に多世代が交流し、"薬"ではなく"人のつながり"を強めて、地域を元気にする"社会的処方"を実践していきたい。またこの取り組みを、地域のつながりを再構築する仕組みとして、区が課題とする災害対策や孤独・孤立の対策にも貢献していきたい」と抱負を語りました。

来賓として出席した足立区副区長の長谷川勝美氏からは「さまざまな民間団体がつながって動くことが大切。近隣には地域包括支援センター、区の福祉まるごと相談課もあり交流が進んでいる。新施設が既存のいろいろな力とつながって、より良い足立区にしていけるように、区としても応援していきたい」とのお言葉がありました。

ふらっと・とーとでは毎月2回、子ども食堂を実施していく予定です。食を通じて、そこに集まる多世代が交流できるプラットフォームにしつつ、ボランティアについて知っていただくきっかけとなる場にしたいと考えています。

2024.05.03
東都生協・風間理事長が開会あいさつ

東都生協・風間理事長が開会あいさつ

昼食懇親会の様子

昼食懇親会の様子

祝賀会参加者の皆さま

祝賀会参加者の皆さま

朝日里山学校

朝日里山学校

参加者に田植え作業を説明する柴山進氏(2013年5月10日、JAやさと協力による農業体験企画「お米コース」)

参加者に田植え作業を説明する柴山進氏(2013年5月10日、JAやさと協力による農業体験企画「お米コース」)

内閣官房・農林水産省が実施した第10回「ディスカバー農山漁村 (むら) の宝」コミュニティ・地産地消部門でNPO法人アグリやさとが優良事例として選定されました。

今回の受賞を記念し、同団体と産直交流で連携するいばらきコープ、よつ葉生協、パルシステム茨城 栃木、東都生協の4生協主催による合同祝賀会が2024年4月6日、茨城県石岡市の朝日里山学校で開催されました。4生協の関係者やJAやさと、茨城県、石岡市の関係者など38人が参加しました。

2023年11月10日に総理大臣官邸で開催された第10回有識者懇談会での選定に際しては「強い農林水産業」「美しく活力ある農山漁村」の実現に向けて、地域の活性化や所得向上への寄与を評価。

NPO法人アグリやさとは、小学校跡の体験型観光施設・朝日里山学校を拠点に、無農薬による米作り体験、野菜作り体験といった生産者と消費者の交流活動を支援してきました。

こうした通年での農業体験の受け入れや、移住を含めた新規就農者支援など、地域資源を活用した取り組みが優良な事例として評価され、受賞に至りました。

当日は祝賀会と昼食懇談会の2部構成となりました。祝賀会の冒頭、東都生協・風間理事長が主催者を代表してあいさつ。

「食と農の感動体験の場として、農村の自然は都市生活者の癒やしや学びにつながる。人が生きていく上で大切なものを提供していただいている。石岡市の受託事業としての新規就農の受け入れなど、茨城県、石岡市と一緒に盛り上げていきたい」と述べました。

NPO法人アグリやさと代表・柴山進氏は「東都生協とJAやさととの産直提携や、1988年からの地域総合産直という政策的な取り組みが、JAやさと有機栽培部会の設立や、新規就農のためのゆめファームやさとの設立につながった。これからも交流事業を応援したい」と語りました。

今回の合同祝賀会を通じて4生協の協同、交流を深めることができました。東都生協は茨城県八郷地区の持続可能な地域づくりを応援するために、NPO法人アグリやさととの朝日里山学校を通じた取り組みを積極的に発信し、協同組合間の協同はもとより、関係団体や行政との連携を強化していきます。



NPO法人アグリやさとと東都生協とのつながり

NPO法人アグリやさとは、2008年にJAやさとと東都生協が協同で設立。農業生産者と消費者・小中高校生・親子との農業体験・交流や食と農への理解を深める取り組み、農業への参入希望者を援助する取り組みなど、食と農の正しい理解と健全な社会の発展に寄与することを目的に活動しています。東都生協・風間理事長は、設立当初より役員として同団体に関わっています。

茨城県石岡市では、1955年に建てられた木造平屋建ての旧朝日小学校校舎を改修。2008年に里山文化を生かした交流・体験型観光施設「朝日里山学校」として開校しました。同施設の管理を受託しているNPO法人アグリやさとでは、地元の農家や観光施設と連携して自然や里山文化、食と農を体験する活動に取り組んでいます。

朝日里山学校は開設以来、東都生協が1976年から産直提携を進めるJAやさととの交流拠点として活用。八郷地区での1989年に始まる化学合成農薬・化学肥料を使用しない米作り体験をはじめ、種まき・植え付けからの野菜作り体験、大豆作りからの豆腐作り体験など数多くの活動が、東都生協組合員にとって「農から学ぶ食育」の機会となってきました。

朝日里山学校を通じた産直交流は、次世代の産直を目指す取り組みの一環でもあります。NPO法人アグリやさととの提携は、持続可能な生産と消費の関係づくりに向けた、地域農業の活性化や地域に多様に関わる「関係人口」の創出にもつながっています。


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