平和
平和を願って!ハンドベル演奏と「平和の鐘」
第7地域委員会にて国際基督教大学ハンドベル部(ICU Bell Peppers)の演奏会&国連に「平和の鐘」を贈った中川千代治さんのお話の朗読会

「Bell Pepper」=ピーマンです(o^―^o)

♪爽やかな演奏に心が洗われ、癒やされました♪ とてもステキで涙が出ました♪ 多彩な奏法の説明も興味深かった♪ ブラボー!
第7地域委員会は2022年12月17日、「平和を願って! ハンドベル演奏と『平和の鐘』」を開催しました。
世界中で親しまれている「It's a Small World(小さな世界)」から始まったハンドベル演奏。澄んだ音色が響きます。
演奏は、国際基督教大学ハンドベル部「ICU Bell Peppers」の皆さん。目の前で繰り広げられる機敏なベルさばき、絶妙な連携で紡がれる美しいメロディに魅了されました。
後半は、ニューヨークの国際連合本部に「平和の鐘」を寄贈した中川千代治さん(元宇和島市長)のお話を朗読。「鐘の音」をテーマに、平和への思いを新たにしたいと企画しました。ただ一つの小さな世界の平和を願って。
「ウクライナ緊急募金」へのご協力ありがとうございました(最終報告)
募金総額2,474万6千円は、国連WFP協会を通じてウクライナの方々への食料支援に活用されます

食料引換券で入手したヨーグルトを手にする子どもたち
©WFP/Antoine Vallas
東都生協が2022年3月から取り組んできた特定非営利活動法人 国際連合世界食糧計画WFP協会(国連WFP協会)「ウクライナ緊急募金」には、組合員の皆さまから総額2,474万6千円もの募金が集まりました。ご協力ありがとうございました。
第1次分1,600万円(昨年6月に贈呈済み)に続き、2023年1月5日に874万6千円を国連WFP協会に送金しました。
【募金使途】
お預かりした募金は、国連WFP協会を通じ、ウクライナ国内、また近隣諸国へ避難している方々への食料支援に活用されます。
平和を考える「浅川地下壕の見学会」を開催
東都生協 第6地域委員会・平和募金企画
1999年、隠されていたたくさんの |
2022年8月7日、第6地域委員会は平和募金企画として、浅川地下壕の見学会を開催。
浅川地下壕(八王子市)は、第2次世界大戦下に高尾駅(旧浅川駅)西南側の山稜に陸軍の倉庫として掘られ(総延長10km)、終戦間際には軍用機エンジンを製造するために使われました。
講師の浅川地下壕を守る会•中田均さんの説明を聞きながら、高尾駅から現地へ。地下壕内は岩肌がむき出しで足元は真っ暗なため、懐中電灯で照らし、ヘルメット着用で見学。
ダイナマイトを詰める穴•トロッコの枕木など当時の面影が残り、「高尾にこんな施設があったとは」「この地下壕のことを広めたい」という感想も。
同守る会は月1回見学会を開催、近隣の高校生たちも浅川地下壕を保存し伝える活動を始めているそう。戦跡を守り、平和を伝えていく必要があると、改めて考える機会となりました。
ウクライナの方に聞く ―ロシアによる侵攻―
東都生協 第3地域委員会・平和募金企画
「日本ウクライナ文化協会」副理事長の |
「母国にとどまる家族や友人と |
第3地域委員会は2022年8月25日、同年2月に始まるロシアによるウクライナ侵攻について、ウクライナの方から直接話を聞き、現在進行中の戦争について学び、平和について考える学習会を開催。
来日されて15年、愛知県在住のナターリヤさんとアンジェリカさんを迎え、ウクライナの歴史や文化、戦禍の中で暮らす人たちの現況を伺いました。
破壊された街、不自由な地下室での生活、子どもの病気、市民への無差別攻撃におびえる日々。
報道では感じ取れない、残忍で凄惨(せいさん)な被害を伝える生の声に胸が詰まります。
「全世界でこの戦争を止めないと、さらに被害が広がる」「世界の平和は努力しなければつくれない」...辛い心情の中、語られたお二人の言葉を心に刻みました。
*この企画は会場とオンラインで60人を超える参加がありました。
大人も子どももみんなで学ぼう! 憲法学習会
第1地域委員会の憲法学習会
※個人の尊重、表現の自由、 |
2022年7月18日、第1地域委員会は「大人も子どももみんなで学ぼう! 憲法学習会」を開催。
「日々の生活の中で幸せだと思うのはどんな時?」という長尾詩子弁護士の問い掛けから始まった学習会。「ゆっくり食事をおいしくいただける時」「子どもが生まれた時」など一人ひとり回答し、「幸せ」が憲法の条文のどこに当てはまるのかを全員で探しました。
絵本『あなたこそたからもの』(※)読後の「なぜ戦争が起きたのか」との問いには、「わがまま・欲張り」「相手のものが欲しいという気持ち」「リーダーを正しく選べなかったから」などの意見が。
対話形式の学習会は、自ら判断するきっかけになります。参加した小学3年生の「難しかったけど、憲法が何のためにあるのか分かった。弱い人のためにある」という感想が印象的でした。
東都生協発「100万人のピースベル」に取り組みました
平和への思いをメッセージに!
![]() ※画像クリックで拡大表示(JPEG) |
「国際平和デー」とは、2002年に国連が定めた平和の記念日です。毎年9月21日を世界の停戦と非暴力の日として、全ての国と人々に、この日一日は敵対行為を停止するように働き掛けています。
アメリカ・ニューヨークの国連本部では毎年、国連事務総長が日本から贈られた「平和の鐘」(Japanese Peace Bell)を鳴らす特別記念行事が行われています。
参加した19人の方より「平和のメッセージカード」として、平和への思いや、「100万人のピースベル」への感想をお寄せいただきました。
その一部をご紹介します。
- 終戦の月に生まれた私。食糧難で栄養失調になり、医師からもうダメかも知れないと母が告げられた。母の懸命な努力で生き長らえることができました。戦争で物事を解決することには絶対反対です。
- みんなで鳴らそう"ピースベル"国際平和を祈りつつ...
- この世に生まれた。たった一つの命。それはかけがえのない大切な命。その命は戦争のために生まれてきたものではない。幸せになるために生まれてきた命。だからこそ、誰もその権利を奪うことはできない。NO WAR ― そして平和で暮らせる日々も私たちの権利なのです。
- かつて日本でも戦争をしていた不幸な時代がありました。人の幸せは、平和の礎の上にあります。9月21日午後7時、平和の尊さを忘れないために、わが子と共にベルを鳴らそうと思います。世界が平和であるよう祈ります。
- できることなら、この日が、今起きている戦争・紛争が停止する方向へ向かうきっかけの日になってほしい。
生協の原点を学ぶ ~賀川豊彦記念松沢資料館を訪ねて~
第5地域委員会で賀川豊彦記念松沢資料館で生協の原点を学ぶ学習会
保存された美しい木造チャペル |
礼拝堂での講義 |
解説を受けながら |
2022年6月30日、第5地域委員会は「生協の父」と呼ばれる賀川豊彦の功績を伝える「賀川豊彦記念 松沢資料館」を訪ね、協同組合の成り立ちや彼の思想を学びました。
100年も前から持続可能な社会を提唱・実践、「子どもは未来をつくる」と教育を重んじ、弱者救済と平和な社会の実現に力を尽くした賀川。
同志として共に歩み、女性運動の先駆者でもあった妻ハル。夫妻の足跡を刈谷雅夫事務長から伺う貴重な機会を得ました。
古い時計やステンドグラスのある礼拝堂での講義、静かな心地良い空間で過ごした有意義な時間でした。
「夏休み親子で学ぼう! 『へいわ』って何だろう?」開催
第9地域委員会・平和学習会
引き揚げ船の中での様子 |
第9地域委員会は2022年7月28日、平和企画として平和祈念展示資料館(新宿区)の学芸員の方を講師にお迎えし、親子を対象に、「Zoom」を使った平和に関するオンライン学習会を行いました。大人14人・子ども7人の計21人が参加しました。
テーマは「海外からの引き揚げ」。敗戦によって外地での生活のよりどころを失い、身に危険が迫る過酷な状況の中をくぐり抜けて祖国に戻ってこられた約320万人に及ぶ方々の労苦について学びました。
引き揚げ船の中での様子
特に旧満州での引き揚げは、1945年8月9日のソ連軍侵攻により大混乱に陥り、過酷を極めるものでした。
反日感情を持つ現地農民の襲撃もある中、青壮年男子が徴兵されていたため、女性・老人・子どもだけでの引き揚げだったそうです。
想像するだけでも、恐ろしい状況です。
講師は「戦後すぐに平和が訪れたわけではない。戦争が起こると弱い者が犠牲になる。過去に起きたことを知る=未来の平和を考えることにつながる」とおっしゃっていました。
学習漫画「満州からの引揚げ 遥かなる紅い夕陽」
企画参加者には、同資料館より提供された学習漫画「満州からの引揚げ 遥かなる紅い夕陽」を配付。こちらは、同資料館の公式ホームページでも電子版がいつでも閲覧できますので、ぜひご覧ください。
皆さんは「へいわ」とはどのようなことだと思いますか? ぜひ考えてみてください。
<参加者の感想>
- 大勢の人を殺したら刑罰があるのに、なぜ戦争で人を殺しても刑罰を受けないのか納得がいかない。戦争はどんな人でも殺してしまうからかなしい。(小4)
- 兵士対兵士の戦争の裏には引き揚げ者のような苦しい思いをした人がいることを知った(小6)
- 低学年の子には、少し難しかったかもしれませんが、とても分かりやすい解説でした。
- 資料館を訪れているような解説でした。資料をまとめていただきありがとうございました。
- 小学生には、理解が難しい時間もあったかもしれませんが、クイズなど工夫されて、親子でZoomでの戦争と平和について考えることができた貴重な企画でした。
- 平和とは、自分の幸せだけでなく、誰に対しても暴力がないこと(大人)
- 宇宙飛行士・毛利衛さんの言葉:「宇宙からは、国境線は見えなかった」―宇宙から見ると、とても小さな地球。そんな小さな世界で争う必要性があるのか? 人間社会だけでなく、地球が(環境・生物、などなど)平和であることを願うばかりです。
- 戦争について「知る」こと、そして、「考える」ことが大切だと思います。「知」って、「考」えれば、戦争はなくなるのではないかと思います。
- 人を傷つけない。お互いが寄り添って笑顔になれる。世界中が幸福を感じられる。そんな時代を迎えられることを諦めないことが大事だと思いました。
<参加者の方々の平和へのメッセージ>
第18回東都生協平和のつどいを開催
チェロの音色に耳を傾け、みんなで平和の大切さに思いをはせました
組合員からの折り鶴を展示 |
組合員からの「しあわせフォト」 |
組合員からのモチーフをつないだ膝掛け |
麦藁帽子の皆さんによる朗読劇 |
熊田育郎さん・村田未知子さん |
チェリスト・阪田宏彰さん、 |
東都生協は2022年7月31日、「奏でよう平和のしらべ 届けよう平和のメッセージ」と題し、チェロミニコンサートとお話会などのステージ企画からなる第18回東都生協平和のつどいをさんぼんすぎセンターで開催しました。
東都生協では、次世代に歴史の事実と平和の大切さを伝えるため、平和について学び、考える機会として「平和のつどい」を毎年夏に開催しています。
2020年度はコロナ感染拡大の影響で3月にオンライン開催しましたが、2021年度は開催が見送りに。今年度は3年ぶりに集会型での開催が実現しました。
さんぼんすぎセンター・1階会議室では、これまでも行ってきた「原爆パネル展」「戦争ほうきキットコーナー」「折り鶴コーナー」「膝掛け」などを展示。
今回は初の試みとして、組合員から寄せられた平和をテーマにした写真「しあわせフォト」をスライドショーでモニター上映しました。展示会場には猛暑の中、約50人ほどが来場しました。
さんぼんすぎセンター・地下ホールでは、午前・午後の入れ替え制でステージ企画を開催しました。
午前の部では、とーと会・麦藁帽子メンバーによる朗読劇「『この子たちの夏―1945・ヒロシマ ナガサキ』より抜粋」を上演。戦時下の子どもたちそれぞれが体験した悲惨な「原爆」を、メンバー6人が語りました。
午後の部では、広島被爆者・熊田育郎さん(立川友の会/立川被爆者の会会長)、東友会被爆者相談員・村田未知子さん(一般社団法人 東友会・原爆被爆者相談所主任相談員)による被爆証言を聞きました。耳を覆いたくなるような悲しい実相ですが、小さなお子さんもしっかりお話を聞いていました。
午前・午後ともにステージ企画の後半は、チェリスト・阪田宏彰さん、横山二葉さんによるチェロミニコンサートを上演。
ゆったりとした中にも面白いお話を交え、カザルス「鳥の歌」、サン=サーンス「白鳥」、テレマン「チェロソナタ」、ビートルズメドレーなどの演奏を聴きました。
参加者は間近で聴くチェロの音色に心を癒され、平和への思いを新たにしました。ステージ企画での午前、午後延べ参加者数は約70人となりました。
なお、ステージ企画は一部編集の上、動画配信する予定です。組合員活動情報紙「ワォ」と東都生協ホームページにてご案内します。
<参加者の感想>
- 平和のつどいが続いていることに感謝です。ずっと昔のことだからこそ、忘れないように活動しなくてはならないですね。
- 平和な生活は尊いものだと感じています。「平和なくして生協なし」という言葉が胸に響く現代の状況の中で自分は何をできるかを考えたいと思います。
- お話に涙が止まりませんでした。朗読いただき、力強い平和の思いが伝わってきました。
- 原爆のことは、忘れてはいけない。核兵器が無くなるように周りの人に伝えていきたいと思いました。
- 本日はありがとうございました。伺ったお話を一人でも多くの方に伝えていきたいと思います。
- 素晴らしい演奏に心が癒やされ、平和のありがたさを実感しました。
- やはり、生の音、チェロの音、素晴らしかった! ブラボー! デュオの素晴らしさ、演奏(奏法)の幅広さなど、楽しく学び、音色に聞き入らせていただきました。
「いまこそ! いまだからこそ」憲法学習会を開催
東京都立大学法学部教授・木村草太先生を講師に招き、憲法の平和と人権を学習
東京都立大学法学部教授・木村草太先生 |
2022年7月20日、東都生協は東京都立大学法学部教授・木村草太氏を講師に、憲法学習会を開催しました。
会場の東京都消費生活総合センター教室Ⅰ・Ⅱには、東都生協の組合員など80人が参加。集会型での学習会は約3年ぶりの開催となり、講師のお話が直接参加者に届く、とても有意義な学習会となりました。
憲法は国家権力による失敗を防ぐためのルール
はじめに木村氏は「私たちはさまざまな事で失敗しやすいので、失敗しないように張り紙を貼る。この張り紙の国家権力版が憲法」と分かりやすい例えで憲法が持つ意味を解説しました。
つまり、憲法を「近代に入り強大化した国家権力が権力を乱用し犯した3大失敗 ①戦争 ②人権侵害 ③独裁―を防ぐための張り紙。近代立憲主義に基づいて作られた、①軍隊と戦争のコントロール ②人権の保障 ③権力の分立―をはじめ国家権力を制限するための法」だとしました。
続いて木村氏は、日本国憲法の章立てと、第1章から第10章までのそれぞれの特徴を説明。憲法は、その国の国家権力が失敗しやすい事柄についてルールを作り、失敗を防ぐことに意味があります。どの国の憲法にも盛り込まれる上記の3点を含め、日本国憲法は、過去の失敗を踏まえて 「天皇」「戦争の放棄」「国民の権利」「国会・内閣・司法の三権分立」「中央政府から独立した地方自治」などを特徴としています。
改憲論議の焦点は9条2項
「自衛隊と憲法9条」の関係についてのお話。自民党はこれまで、憲法第9条第2項を削除して軍隊と戦力を持てるようにする改憲を主張してきましたが、近年では第2項を残し自衛隊を明記する「明記改憲」を主張。
20世紀半ば以降、国際法では一切の武力行使を原則として禁じています(国連憲章第2条第4項「武力不行使原則」)。日本は過去に侵略戦争という大きな失敗を犯したため、「戦争の放棄」として諸外国と比べ、軍隊と戦力を徹底してコントロールする規定を憲法に設けているのです。
国連憲章の武力不行使原則では、侵略国が現れた場合に備えて、①国連安保理決議に基づく集団安全保障措置 ②個別的自衛権 ③集団的自衛権―の3つの例外を定めています。ロシアによるウクライナ侵攻について木村氏は「このいずれにも該当せず、ロシアの国際法違反は明白」と指摘しました。
「日本国憲法第9条第1項では国際紛争を解決のための武力行使を禁止。つまり侵略戦争の禁止を明文化したもので、現在の国際社会では当たり前の条文で、これには改憲派もほぼ異論はない」としました。
改憲派が問題とする第9条第2項は、戦力や交戦権、軍隊を持たないことが書かれています。しかし、他国の侵略に備えて軍隊を持った場合、指揮監督権の所在は規定されていません。内閣の行う事務、国民が内閣に与える権限を定めた憲法第73条にも書かれていません。こうしたことから「軍事に関する権限は消滅している」「憲法第9条はあらゆる武力行使を禁止する条文と理解せざるを得ない」としました。
憲法9条と個別的自衛権・集団的自衛権
では、第9条に例外はないのでしょうか。政府は、国民の生命や自由を最大限尊重することを定めた憲法第13条を、第9条の例外を認める根拠としています。侵略があった場合にそれを放置することは、国民の生命や自由を最大限尊重する政府の義務を果たさず、第13条に違反することになるからです。
木村氏はこれを「遠足のしおり」に例えて説明。「第9条に『過去にお酒を飲んで酔っ払って迷惑を掛けた人がいるため、飲み物は一切持ってきてはいけません』と書いてある。第13条を見ると『熱中症にならないように水分補給をしましょう』と書いてあって、水を持参しても良いのかどうかが分からない。しかし熱中症対策を考えた場合に『水を持ってきてはいけない』とすることは、明らかに無理がある」。
「同じように、日本が攻撃を受けた場合、憲法第13条を根拠として国民の生命と自由を最大限守るための武力行使は例外的に認められる。したがって自衛隊は置いて良いし、侵略を受けた場合に限り、最低限の武力行使は行って良い、というのが現在の政府の解釈」として「軍事権との関係では、防衛活動は憲法第73条にいう一般行政事務、国内の行政に含まれるものと整理されている」と解説しました。
他方、外国の防衛のために派兵できるのかという点に言及。「侵略国に対して非難声明を出したり、経済制裁に参加したりすることは外交権の範囲で可能だが、軍事活動に関する規定はないため、集団的自衛権の行使や国連軍への参加は憲法違反とされてきた」。
「しかし2015年に成立した安保法制では、存立危機事態に限定して集団的自衛権の行使を容認。憲法第13条により第9条の例外を認める構造は維持されているが、①外国を守ることは規定していない第13条に違反し、違憲となる ②自国が武力攻撃を受けていない段階で、被害国の防衛のために武力行使を行うことは先制攻撃となる」との問題点を示しました。
「自衛隊明記」と「緊急事態条項」の危うさ
続いて木村氏は、改憲派の「自衛隊明記」案や「緊急事態条項」追加案の危うさを、戦前ドイツのワイマール憲法の歴史をたどりつつ解説。
「憲法第9条をそのままで自衛隊を置いて良いとする自衛隊明記案は、先の『遠足のしおり』に例えれば『水筒を持ってきて良い』と書くだけで、その水筒に水を入れて良いかは書いていないようなもの。つまり、自衛隊がどの範囲で任務を遂行するのかを書かなければ意味がない」とし、安保法制の下では「集団的自衛権を憲法に書き込まなくてはならない」との考えを示しました。
しかし、憲法改正の国民投票で「集団的自衛権の明記」を争点にしたくない改憲派は、自衛隊の任務の範囲をあいまいにして真の争点となる「集団的自衛権明記」を隠し、「自衛隊明記」改憲を図る可能性があることに注意を促しました。
緊急事態条項については「感染症や原発事故など緊急事態の行動制限はこれまでの法律でも認められている。現行憲法に緊急事態条項がないから対応できない事態にあるとは考えられず、法改正や政策判断で十分対応できたはず」と指摘。憲法への緊急事態条項の追加には根拠がないことを示しました。
2012年の自民党改憲草案について、木村氏は「政府が緊急事態を宣言すれば、法律を内閣の一存で書き換えられるという内容」としました。第1次世界大戦後、ワイマール憲法下ドイツでの社会不安を背景とした緊急事態条項の乱用が、授権法や議事堂炎上令(大統領緊急令)を経てナチス体制へとつながっていった経緯を解説。「憲法改正の前に、国会での熟議や緊急事態へのさまざまな事前準備の方がはるかに重要」との見解を示しました。
憲法の改正は、国会で衆参各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票によって過半数の賛成を必要とすることが憲法第96条で定められています。国民に誤解をさせて投票に行かせるような、あいまいな説明しか伝えられない可能性があります。
質疑応答での「改憲発議が国会を通って国民投票となった場合、私たちはどう準備すればよいか」の質問に、木村氏は「何が問題なのかを見極めることが大事。必要性がない改憲には流されない構えが大切」と応じました。
「18歳選挙権が実現した今、若い世代に何を伝えていけばよいか」との質問には「投票は、自分のためというよりは、公共の価値を実現するための仕事」との考えを示し、投票の大切さを改めて確認することができました。
私たちが賢く判断し、行動していくためにも、マスメディアが流す情報や伝え方には常に疑問を持ち、情報を深読みすることが大事です。ロシアによるウクライナ侵略などに乗じて、改憲への動きが強まっています。ニュースなどで「自衛隊明記」「緊急事態条項」のワードが出たら要注意。
平和とより良いくらしの実現に向けて、日本国憲法の今日的意義を確認し、守り生かしていく必要があります。東都生協では継続的な憲法学習など、平和を考える取り組みを進めていきます。