フェアトレードで世界は変わる

 今も地球上には、貧困に苦しむ人たちがたくさんいます。その要因は、地球環境の悪化や紛争、そして人種差別・搾取・児童労働・強制労働といった人権侵害などさまざま。貧困は、世界の共通課題として対処する必要があります。

 干ばつや洪水などで作物が栽培できない、一日中働いても十分な賃金が得られない、伝統技術を生かした製品を売る手立てがない、あっても安く買いたたかれる…。

 このような状況を改善しようと行われているのがフェアトレード「公正な貿易」です。特に、アジア、アフリカ、中南米の貧困に苦しむ国や地域の人たちが作った製品を適正価格で買い取り、彼らの生活環境の向上を支えるのがその活動。

 私たちがフェアトレード商品を購入することが貧困を解消し、人権や平和を守ることにつながります。

※世界の貧困人口 … 1 日1.25ドル未満で暮らす人々は約12億人(出典:世界銀行ホームページ)

東都生協で扱うフェアトレード商品は、世界中とつながっています。

アジア・アフリカ
中南米

フェアトレードを詳しく知ろう

日本のフェアトレード市場 取り組みの現状

 フェアトレードは、1946年にアメリカの団体がプエルトルコから手芸品を輸入したのが始まりです。日本でも20年以上前からさまざまな団体・企業が取り組んでいますが、世界的にはまだまだ認知度は高くありません。
 最近、日本の若者の中には、フェアトレードのチョコレートやコーヒーなどだけでなく、ファッションを「カッコいい」ととらえる人が徐々に増えているそうです。
ただ、依然として日本に入ってくる輸入製品の中には、強制労働や児童労働、または環境破壊を伴った物もあります。今後、貧困に苦しむ国と地域の持続可能な発展に向けたさまざまな貢献が期待されています。

長期的・安定的契約

長期取引関係により安定収入を保障するのがフェアトレードの基本。

適正価格での取引

人間らしい生活が維持できる正当な利益で取引。

右図出典:映画「おいしいコーヒーの真実」

社会的側面への対応

児童労働や女性の強制労働の禁止、団体交渉権、組合の組織化、生産者の健康と安全など、労働環境でILO 条約を遵守した生産・取引を行うこと。

環境対応

環境に配慮した開発を目指すことで、コミュニティ全体を改善。

前払い

貧しい生産者の自立支援のために前払いを行う。

多角化の追求

生産物の多様化を追求し、他の現金収入につながる作物や自給作物も生産できるようにする。

情報提供

購入先の先進国側からの情報(価格や商品への希望など)を提供し、対等に貿易。

組織化(協同組合/NGO)
民主的運営

現地の人々による生産者協同組合、農業協同組合、NGOなど、民主的運営を目的とした組織を設立し、その組織と協働。

中間搾取業者の排除

地域と地域を直結する国際産直で、中間業者を排除し、価格的競争力を確保。

技術指導

現地の原材料や文化、生産者の能力を尊重しつつ、販売先の先進国市場での商品の価格や品質の満足度を保持するため、商品開発や技術移転を行う。

割増金の設定

価格に割増金を上乗せし、地域の生活向上やインフラ整備に使用。

※ILO条約:国際労働機関(ILO)による国際的な最低の労働基準を定めた条約
〔参考〕外務省HP:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shimin/oda_ngo/houkokusho/pdfs/02_h23_houkokusho1.pdf

私たちが40年にわたり進めてきた「産直」の考え方と実践は、フェアトレードにも通じます。それは、東都生協とタヤン農協(タイ国)との協同組合間提携による「農薬無散布バナナ」の20年以上にわたる取り組みです。

 1990年当時、市販バナナの安全性への不安から、安全なバナナを食べたいという組合員要望に応え、海外での商品開発をしました。国内外を問わず、「安全・安心」は当然のことながら、自然に配慮した栽培方法、生産者のくらしを守る価格保障、そしてこれらを理解して購入し続けるための生産者と消費者との相互理解を実現しなければなりません。

 もちろん、歴史や生活文化、慣習などの違いからさまざまな困難はありましたが、それこそが、グローバルな視野を持つことの重要性を私たちに教えてくれました。地球規模で人々のくらしや価値観に目を向けることの大切さに、気付くことができたのです。

 また、バナナ事業は確実に生産者のやりがいと収入の向上につながりました。タヤン農協がある地域は比較的恵まれた地域で、本来、農民の主たる経済作物はマナオというライムに似た果実ですが、それでも輸出向けバナナへの次のような魅力を挙げています。

  1. ① 食べてくれる日本の消費者の反応を把握できる楽しさとやりがい
  2. ② 農民仲間と共に有機的な栽培を追及することで知見が広がる
  3. ③ 価格が保障されている
  4. ④ マナオ栽培のように農薬の使用や人材雇用の必要が少ない

 日本へのバナナ輸出事業はタイ国内でも注目され、それが生産者の大きな自信となり、今では現地での販路拡大、バナナの加工製品の製造、農協内にショップを設け販売するなど、農協・生産者の自立した事業に発展しています。

こだわり商品Story

インデックスに戻る